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NHK「“肩こり解消”で思わぬ被害」―マッサージと按摩が混同されているのも一因かも? [東洋医学]

昨日19:30~19:56にNHKで放送された「クローズアップ現代」にて、
「“肩こり解消”で思わぬ被害」が放送されました。

パソコン・タブレット・スマホの操作、車の運転 等で、同じ体勢や同じ動作を
繰り返す事が多くなりました。
それに伴い、首や肩のこり・腰の痛みの症状を抱える人が増え、
マッサージや整体、リラクゼーション等は 番組でもブームと言われる程
施術を受けられる人が増えています。

番組によると、昨今、健康被害が全国で相次いでおり、
国民生活センターへの相談はこの9年間で9000件以上、
特に、脊髄損傷や肋骨骨折といった重篤なケースが増えているそうです。

肩こりを治す為に、腕を二人がかりで体重を掛けて押さえられて
腕全体が紫色に腫れあがった人、
頚椎のトラスト(首を急激に捻じって衝撃を加える)を受けて、脊髄損傷が発生し、
手足の痺れと痛みのため動かす事がままならなくなり、仕事も辞め
日常生活にも支障をきたす様になった方の例が放映されました。

「どんな刺激をしたらこんなになるのか?」と不思議に思う位のひどい状況で、
目を背けたくなるほどのショッキングなものでした。

背景には、整体やリラクゼーション等には国家資格が存在しない為
基礎的知識が足りない人でも施術ができる事、免許が必要な接骨院などでも
規制緩和で店舗が13万カ所まで拡大、技量不足の施術者の増加を招いている
事 等がその理由として挙げられていました。
(本当は、整体の手法は指圧の業務範囲に含まれる筈ですが・・・)

私は、現在の日本での「マッサージ」の次の2つに代表される
間違った認識が根底にあるのでは? と考えています。

1 マッサージは東洋医学に基づいた治療法である。伝統的な治療法である。

2 マッサージは何にでも効く、手でする事なのでリスクが無い。
 素人でも家庭でも手軽にできる。

ところで、マッサージはどこの国の発祥かを ご存知でしょうか?
鍼灸や按摩と一緒に東洋医学系の養成学校で教えられ免許が取得でき、
施術所においてもこれらと併用して行われる為、ふとした話から
大抵の方が、マッサージは東洋医学的なイメージを持っている事が解ります。

しかし、実はフランスで生まれた『マッサージュ』が起源と言われます。
16世紀後半、フランスの医師アムグロアスバレーが、マッサージの効能や方法を
研究し、その効果を発表し、医療法として広まっていったとされます。

日本にマッサージをもたらしたのは、明治時代の軍医である橋本乗晃が
フランスのマッサージを視察し、研究したのち、医療法の一つとして導入したと
云われています。

日本においては元々
診断と治療の両者を併せて持つ、高レベルの漢方医術
としての按摩が用いられていましたが、明治政府が江戸幕府の痕跡を
消し去ろうとし、それまでの医学の基盤とされた東洋医学を排除しようとする
動きがみられました。
その一環として 按摩に似ていたマッサージを按摩にとって変え、
日本の手技の主流とさせました。

一方で明治政府は、盲人や職の無い人達が行っていた娯楽・慰安としてのあんまを、
盲学校の職業教育に取り入れ、視覚障害者の方の生業としました。

マッサージは、筋腹を中心に行い、循環器系、リンパ系を調節する
手技が主体であった為、血液・リンパを流す様にできています

それに対して、江戸時代の按摩術は、マッサージの軽擦法によく似た調摩の術の他、
「スジ揉み」と云われていた様に、
スジー腱や靭帯のコリ・シコリを緩める手法があった事が、
文献から 知る事ができます。

私が、施術に用いており、初めての著書のテーマにもなった
腱を弾く手法」は、江戸時代の按摩術の「解釈の術
という手法を応用したものです。 解釈とは、ときほぐすという意味です。

戦後、あん摩マッサージ指圧師の資格制度にとりまとめる時、マッサージという
名のもとに、古法按摩の「スジ揉み」を合体させ、「解釈の術」から生まれたという
揉捏法を取り入れました。

これが、現在のあんまマッサージが、マッサージの本来の目的になかった筈の
按摩由来の揉んでほぐす要素を持つ所以です。

この時、マッサージは筋肉の真ん中の部分をさする手技が主体だった為、
本来スジ(腱)に行う筈であった按摩の手法を筋肉の真ん中にも行う様になって
しまったのです。
さらに、患者さんの心地良さを求めるのに応じるあまり
解釈の術の直線的な動きは、揉みこねる方法(揉捏法)へと、
やり方も変わっていってしまった様です。

ふくらはぎに代表される筋腹は、ストローなような筋繊維の束が薄い膜の中に
充填されています。
柔らかくとてもデリケートで、揉みこねる事で損傷し易い
です。

加えて、筋腹には、筋肉に力を付けるセンサーしかない為
筋肉の緊張を緩めるのには適さず、力尽くで緩める形になってしまう為、
問題が起き易いのです。

それに対して腱は、
硬くて弾力のある丈夫なコラーゲン繊維でできている為
細長いのに、押さえても指が跳ね返される位 頑丈です。
その為、腱に対しては、腱に沿って引き伸ばすストレッチ刺激や
腱に対して垂直に弾く刺激がやり易く、かつ、よく効くのです。
少し強めの刺激でも大丈夫です

さらに、腱には、筋肉の張力を感知するセンサー〔コリ取りセンサー〕があり、
脳から筋肉の張力を緩める指令が送られる為、筋肉の緊張を緩めるには
とても適しているのです。

ただ、損傷した腱に行う場合は、細心の注意をする必要性は感じています。

専門学校時代の数十年前の記憶にてなので、現在は解りませんが
残念ながら、このようなマッサージや按摩の歴史や本来の目的や方法について
の教育は、あん摩マッサージ師の養成学校でも 教わった記憶がありません・・

マッサージと按摩という、歴史も内容、目的を違うものを
強引に結合させて制度化し、教育の場で『あん摩マッサージ』として
教えられている為だと考えます。

これからは、本来のマッサージと按摩術の知識を治療する側が持ち、
それぞれの特徴を活かせる様に使い分けていく必要があるのでは?

又、後療法として、マッサージを行う事の多い柔道整復師も、
マッサージと按摩術を使い分け、関節の動き難い傷病には、
関節に付着する腱の硬直を緩める古法按摩〔腱弾き〕
取り入れる方向にしていけば、効果も高くなり、
慰安的要素の強いマッサージとの区別もハッキリして、
柔道整復師の存在価値も高まるのではないか? とも思うのですが・・・


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