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四十肩・五十肩のステージ(段階)と それに応じた施術 [傷病と整体]

一般的に云われる 四十肩・五十肩のステージは、

◎急性期(炎症期)・◎慢性期(運動制限が主体)・◎回復期に分けられ、
処置・施術法、養生法も それぞれによって使い分けられております。

私は、自分が五十肩になったのを機に、四十肩・五十肩に対する『腱はじき術』
考案して、これらの専門コースを設けて 臨床に当たっております。

その中で、急性期・慢性期 の考え方と 実際の患者さんとの微妙な違いを感じておりました。

そんな時、私が日頃から思っていた、四十肩・五十肩のステージの鑑別法 
に近いものを、2月20日発行の『カイロジャーナル第76号』にて、
大谷素明先生が 解り易く述べられておられました。

大谷先生は四十肩の鑑別と治療トリガーポインを交えて】の記事にて、
四十肩は 腱板炎またはそれに近い状態(棘上筋のトリガーポイントによる関連痛)で、
五十肩は 腱板炎の炎症が進行して 肩峰下滑液包に炎症が広がった 所謂〈凍結肩〉をいう》 
とされています。

下記の《1・2を 四十肩、3を 五十肩 の名称で分類され》ておられる点は違和感はありますが、

1 棘上筋のトリガーポイント(硬結)による関連痛が 棘上筋・三角筋辺りに発生している段階
(肘を浮かせて、マウス操作を長時間行う事など オーバーユースによりる筋肉の長時間に亘る
持続的収縮により、筋中の血行が悪くなり硬結が作られる)

2 棘上筋の腱板(肩峰と大結節の間)の損傷部が 肩関節外転時に痛み、
肩峰大結節間に圧痛があるかどうかが 1のステージと異なる

3 腱板炎から滑液包に炎症が広がり、発熱・発赤・腫脹を伴い 安静時にも痛む様になる 
さらに悪化すると、夜間痛で眠れない、腕の置き場所が無い等の症状

の3つの段階に分けられております。

それを、私なりの見解により補足解説しますと、

1 オーバーユース(繰り返し動作・同じポジションを持続する)による 筋肉の長時間に亘る
持続的収縮により、筋肉が過緊張を起こし、筋肉が骨に付着する部分において、
痙攣状態を起こす為、関節の動きが悪くなり、引っ掛かりや 運動痛を起こしてきます。

最初は、肩甲骨烏口突起下の上腕二頭筋短頭腱、結節間溝の上腕二頭筋腱長頭腱
三角筋起始部辺りに疼痛・圧痛がみられます。

2 1 の状態が長く続いたり、腱の痙攣状態で何かの動作・キッカケにより、
腱板に小さな損傷・変性が起り著明な運動制限と運動痛が起ってきます。

外転時に肩峰と大結節の間に衝撃痛があり、棘上筋の肩鎖関節よりの
前肩髃(けんぐう)と云われる辺りに疼痛・圧痛がみられます。

更に、腱板の損傷が、隣接する肩峰下滑液包の癒着の原因となります。

2のステージになると、伏臥位で顔の横に手を置く事が出来なくなり、
腕の拳上に加え、手を後ろに回す(エプロンやブラジャーの紐を後ろで留める動作)が
だんだん困難になり、3のステージに進行していきます。


3 1・2の状態で、無理に肩を動かしたり、リハビリにと肩を回したり挙げたりする運動を行う事で、
関節包の萎縮や石灰沈着により、肩関節自体が拘縮を起こし
関節が自動的にも他動的にも動かなくなります(凍結肩)。

肩関節のみでなく、寝たり起きたり等 体を動かす事もままならなくなります。

凍結肩を呈する ステージ3を 五十肩と云い、1・2はその前段階とする書物もあります。

私は、1・2の軽度・中等度の四十肩・五十肩を 間違った 処置、リハビリ、養生法により
こじれらせて 悪化した段階が ステージ3と考えます

簡単に言いますと、肩に負担をかけ続けたうえに、無理に動かした事に対する
肩が完全にストライキを起こしている状態です

大谷先生が、文章中で言われている様に、《1・2の状態で筋トレをして、変性気味の
腱にさらに負担をかけて損傷させたり、損傷を悪化させる事は厳禁ですが、
リハビリと称して、この段階で 肩関節を動かす運動法を行っている方は多い様です。》

四十肩・五十肩と云われる様に、長い間使い続けてきた 筋肉や腱は老朽化しており、
その腱を 《腱がピーンと張った緊張状態で 動かし続けると、あたかも老朽化したロープに
ぶら下がる事で ロープの線維の表面が切れるかの様な 損傷が起きてしまうのです。》


又、《1・2の段階で 腫れや発赤がないのに、冷湿布や氷で冷やす事により、
筋肉・腱が よけいに収縮し、緊張し、血行不良を起こす為に、悪化させる原因となっている》と言うのは、
大谷先生と意見が一致です。
1の段階は勿論、2での小さな損傷では、普通は 
冷やさなければならない程の炎症は発生しないのです。

1・2の段階なら、肩関節を極力 動かない様にして、 『腱はじき術』にて、腱の痙攣を鎮め、
筋肉の過緊張を取り除き、血行を改善する事で 改善されてきます。
3の段階でも、痛くない体勢にて、根気よく 腱はじき を続けながら 肩関節を動かす事を控え
患側の腕を使わない様にする事で、すこしずつ拘縮は解けてきます。

1の段階ではもちろん、2、3の段階の場合は可動がついてきたのを見計らい
まず重力を除去した仰臥位にて、上腕骨頭のローリング法、上肢の回内拳上法を、
痛みを伴わない様に 細心の注意を払いながら行っていきます。

間違っても患者さんに肩関節の自動運動を行わせない事が肝要で、
このアドバイスをどうしても受け入れて頂けない場合は、肩関節の代わりに、
肩甲骨のみを動かす運動を行って頂きます。

1の段階なら、早ければ1~数回位の施術にて、痛み・可動制限が消失する事も少なくありません
2の段階でも、早い段階で 『腱はじき』を施せば、比較的早く 腕が動かせる様になります。
仕事などで無理をしたり、間違った運動を行って こじらしていると、
動く様になるのに時間を要します。

3の段階では、肩の可動がついてくるのに 早くて1ヶ月、肩が動かせるようになるには
3ヶ月位は必要になってきます。

先日、「急に肩が挙がらなくなった」と言われ来院された患者さんは、
最初は、顔まで腕が上がらず、家事も車の運転も不能でした

しかし、直ぐに来院された事もあり、こじれていなかった為に ステージ3に近い拘縮に見えて、
まだ2の段階だったのが幸いでした。

初回の施術後に、「疼く痛みが無くなり、ぐっすりと眠れるようになった」と喜ばれ、
3回目の施術後を重ねた頃に、腕が上がる様になり 
車運転をはじめ 日常生活の諸動作が出来る様になり、仕事にも復活できました

3週間経った今は、腕を使える様になった事で、うっかり大きく動かすと
「痛ッ!」と言う感じの症状が残り、通院を継続されています。

肩が動かして痛い!動かすと引っ掛かると感じたら、間違っても自分で動かして治そうとせずに
できるだけ早くに来院される事を お勧めします
 
今迄に、多くの肩の挙がらなくなった方々を診てきて、確信持って言える事です。

(但し、今までに一例だけ 一晩のうちに 肩関節がピクリとも動かせない程の痛みが発生し、
いきなり 3のステージになった と云われた方が来院されましたが、残念ながらお手上げでした。
これは、中年女性にしばしば発生する 石灰化腱炎 と言う 病気で、
病院にて 石灰を吸引等の処置をして頂く必要があります)









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